というわけで、さっそく作業開始です。まずはハンドルポジションチェンジャーの取付けから。購入した製品はこちら。
Tern Andros Stem 65mmです。特徴は何といってもクイックリリース機能があること。突き出し量が65mmと他より長めなところも魅力です。
欠点はその破壊的なまでの重さでしょう。重量を見ただけで「ないわ~」という人もいるかも?
小物も合わせたAndros Stem一式の重さが329g。ステム単体ではペアで278g。うちクイックレバーの部分だけで94gもあります。軽合金キャップがこれまた重くて2個で46g。このキャップは横へのズレを抑制するために必要で、一般的なプラ製バーエンドキャップ等ではツバの外径が小さすぎ、代用品としては使えません。
今回はこのAndrosステムの導入と合わせてインナーポストをT型のものに交換します。旧来のままでは、上部クランプ部とAndrosステムでクイックリリース機能が重なってしまいますからね。T型のほうが固定力が強いという利点もあります。
さらにハンドルバーも新たに用意しました。KALLOY AL-006です。お値段は約1,500円と安価。重量は未カット560mmの状態で195gでした。
新旧ハンドルバーを3本並べてみました。上がルート(2013)標準のハンドルバー。中がYeah号で使っていたBAZOOKAのフラットバー。下が新たに購入したKALLOYのハンドルバーです。
T型ポストでハンドルポジションチェンジャーを使う場合、しっかり固定するためにはハンドルバー中央クランプ部分に9cm~10cm程度の幅が必要になります。(ZOOM/SATORIタイプやRIDEAタイプは除く)
画像でご覧のとおり、ルート標準のハンドルバーは中央25.4mm径の部分が短く、固定は事実上不可能。バズーカも固定場所がテーパーにかかってしまい、しっかりと固定することができませんでした。
対してカロイ製AL-006はここに十分な幅があります。ハンドルポジションチェンジャーと組み合わせるなら、このようなハンドルバーがオススメです。
交換する部分の重さを比べてみました。交換前が459g、交換後は691gと、やはりかなりの重量増になってしまうようです。
この重さについてはカタログ重量を見た時点で察しはついていたのでまあ想定内なのですが、実際に自転車に組み付けてみるとまた別の問題があることに気づきました。
なんとハンドルバーの幅が制限されてしまうのです。Androsはクイックを前方に開いて解放する方式。その際、ブレーキレバーなどが中央に寄っているとケーブルアウターと干渉してクイックを解放できません。これは予想外でした。
カロイのハンドルバーは初期状態で幅560mm。幅520mm程度にカットして使おうと考えていたのに、それも難しくなってしまいました。
それどころか未カットの状態でもギリギリ。幅560mmフルに使ってようやく干渉を回避できる、というような有様です。
これにはAvidのブレーキレバーも影響しているようで、試しにDeore BL-M590を重ねてみると、アウターケーシングの出る角度や位置が違います。
Avidのレバーをこのまま使い続けるとすれば、ハンドルバーは否応なく幅560mm以上で決まりです。一方で、レバーをDeore BL-M590に交換すれば、ハンドル幅を540mm程度までは縮めることができます。しかし同時に、シフトレバーSL-R440との兼ね合いで、操作に多少の不都合が出てくることにもなります。
さてどうしたものかと少し考えた末に、結局Avid Speed Dial Tiの継続使用は諦めました。ブレーキレバーをDeore BL-M590に交換し、ハンドルバーを可能な限りカットして使うことにします。
ハンドルバーを合計2cmカットした後の状態です。幅540mm+Deore BL-M590でも、Androsクイックレバーとの干渉回避はギリギリ。ブレーキ/シフトレバーのクランプ位置をこれ以上センターに寄せるのは難しいと思います。
ハンドルバーの幅を540mmより短くしたければ、あとはグリップを交換するしかないでしょう。(使用中のERGON GP1ロングは128mm) あるいはバックスイープのキツいハンドルにする、という手もあるかもしれません。(カロイは5°)
結果、ハンドルまわりはこのようになりました。ステムの突き出し量65mmをフルに使えます。
少々乱暴に力を加えてもズレるようなことはなく、Androsの固定力は十分のようです。
折りたたみと展開もとくに問題なし。これまでどおり内側にピッタリと収まります。ただし作業の手間は少し掛かるようになりました。
どの取り付け方法も一長一短あり
ルートにこの種のステムを取り付ける際には、いくつかの組み合わせが考えられます。1.内折れテレスコ式ハンドルポスト(標準)
+ハンドルポジションチェンジャー
メリット
・安価かつ取付けが容易
デメリット
・クイックレバーとハンドルバーの干渉
・ステムの角度に制限
・突き出し量を十分に生かせないかも
・折りたたみ作業に影響
このやり方がいちばんお手軽です。実際にやっている方も多いのではないでしょうか。基本的にはステムをポン付けすればOK。ただしポスト側クイックレバーとの干渉だけは、どうにか工夫して避ける必要があります。展開と折りたたみを毎回行うユーザーには不向きなスタイルかもしれません。
2.外折れT型一体式ハンドルポスト
+ハンドルポジションチェンジャー
メリット
・剛性の向上と軽量化
・ステムの突き出し量をフルに生かせる
・折りたたみ作業の簡素化
デメリット
・シルバーで短い外折れT型一体式ポストは入手難
(Tern純正ポストはDAHONにポン付け不可)
・折りたたみ後の車体幅増と自立バランスの悪化
おそらくこれがもっとも効果的な方法でしょう。難点は代替ハンドルポストの入手性。30cm程度と短いシルバーの外折れT型ポストは、ナゼかあまり出回っていないようです。ブラックは入手が容易なのですが……。シルバーでも長いT型なら見つかります。
3.内折れT型テレスコ式ハンドルポスト
+Tern Andros Stem 65mm
メリット
・オリジナルと遜色ない折りたたみ機能
・ワンタッチのステム角度調整
・突き出しが他より少し長い
デメリット
・Androsの重量
・ハンドルバー幅の制限
・好みの分かれる外観
今回私が選択した方法です。工具なしで内側にピッタリと折りたためます。が、ハンドルバー幅に制限が出るのは痛いですね。
4.ステムコンバーター(上部)
+一般的なアヘッドステム
メリット
・ステム&ハンドルバーの選択肢が多い
デメリット
・折りたたみに難あり
ポスト上部をステムコンバーターに交換する方法です。サードパーティーからDAHON専用品が出ています。
どの組み合わせがベスト?
総合的に見ればオススメは2番です。折りたたみ後の幅が増すという点についても、輪行時などにどうしても気になるなら、工具でボルトを緩めて角度を直せば良いだけ。 剛性や軽さなど、メリットは多いと思います。一方、今回試した3番の方法はというと、メリットは大きいのですが、デメリットも痛いので、積極的にはオススメしません。ステムの突き出し量重視ならありかも?
拡張性で見れば、もっとも優れているのが4番のやり方。そのままでは折りたためなくなってしまうのですが、インナーポストごと抜くという最後の手段があります。折りたたみの際に上をスポッと抜き取ってしまい、折りたたんだ後で車体の間に差し込めば、ステム・ハンドルまわりがどれほど異形だろうと、基本的には問題ないことになります。ドロップハンドルでもいけるのではないでしょうか。これはテレスコ式の隠れたメリットと言えるでしょう。
しかし、こうして様々に検討してみると、やはり最後に行き着くところは折りたたみ機能への影響という点ですね。いくらステアリングを改善したいからと言っても、フォールディングバイクであるからには、この部分をないがしろにはできません。
逆に、めったに折りたたむことがないというのなら、さらに思い切った改造も視野に入ってきます。自分の日常的な使い方と照らし合わせて選ぶのがよいのかもしれませんね。
とりあえずステムの取付けはこれで完了です。が、フラフラ対策はまだ終わりじゃありません。次回はシートポストの交換デス!
ぽんたさん、こんばんは。
返信削除作業、お疲れ様です。
記事を拝見しましたがAndrosのステム、マジでゴツいですね(汗)
私は前回記事内の写真左下のタイプを使い、今回紹介の1番の組み合わせで乗っておりました。(ポスト側クイックレバーは後ろ向きで対処、特に問題なし)
それでもハンドル幅が広めになるのが気になり、さらなる改造に踏み切った次第です(笑)
今回の記事を見ての質問なのですが、Androsのステムは前後逆にして使うことはできないんでしょうか?
ガンマさん、こんばんは!
削除>Androsのステム、マジでゴツいですね
見かけも重さもヘビー級ですよ!
これでも旧モデルよりもスマートなのだからAndros恐るべしです。
デフォでこれが付いているTernのモデルも、
やはりハンドルバーは短くできないのでしょうかね?
ガンマさんは最初は1番の方法ですか~。
私もそっちを選択したほうが良かったかな。
なんだか毎回改造後にああすれば良かったと言ってる感じですね(笑)
>Androsのステムは前後逆にして使う
なるほど、これは思いつきませんでした!
構造的にはたぶん前後逆でも問題ないと思います。
見た目はさらに珍妙になってしまいますが(笑)
まあとりあえずは今の状態で少し使ってみようと思います。
「Tern アンドロスステム 65mm」でググっていたら、ここに辿り着きました。
返信削除現在、自分は愛車に突き出し長85ミリのアンドロスステムを付けています。
ぽんたさんと同様に、クィックレバーとケーブルとの干渉に悩みました。
が、ある日突如の閃きで、簡単に解決しました。
ステムを前後逆に取り付けるのです。
前後ともクランプ径は25.4ミリですから問題無いはずです。
参考までに。
匿名さん、こんばんは!
削除>ステムを前後逆に取り付けるのです
やはりその手ですか!
上のコメントでガンマさんからも同様のヒントをいただき、
なるほどそのような方法があったかと目から鱗です。
確かに前後逆でも問題なさそうな構造になっていますね。
重さはさておき、機能的には良いステムだと思うんですけど、
このケーブルとの干渉だけが残念ですよねAndros。
交換前のハンドルバーの幅が525mm、
それがAndrosとの兼ね合いで540mmになったのですが、
15mmの差ならそのうち馴染むのではないかなぁと期待しつつ、
とりあえずは正位置の状態で使いつつ様子を見ているところです。
ぽんたさん。こんばんは。
返信削除匿名さんからのご助言によると、Androsの逆転は問題無くできそうですね。
しかし、決して私の意見を強要しているわけではありませんので(汗)
今後も記事の更新を楽しみしております。
ガンマさん、こんばんは!
削除>決して私の意見を強要しているわけではありませんので
そんなふうにはもちろん受け取っておりませんのでご安心を(笑)
「なるほどそんな手があったかー」と感じ入っていたところです。
Androsに関しては、クイックレバーなしで使ったら面白いかも、
と考えたこともあったんですが、
クイックの代わりにナットを付けるにしても、
受けの部分が凹面なのでそれを埋める何かが必要だと思い諦めました。
誰かうまい手を考えてやってみてくれませんかね~。(人様頼り)
ダホンのステムは選択肢少ない上に、どれも何かをガマンしなきゃいけなくて苦労しますよね。私のBWもアンドロスステムやポジションチャンジャー、なんちゃってアヘッドといろいろ試しました。
返信削除現在はPAKE UKIAH RISER BAR というピスト系のハンドルを使っています。フラットタイプのコンドリーナバーとでもいいましょうか、ある程度のポジション調整ができる上に内折れポストにも対応できるので重宝しています。完全フラットではなく5°のベンドがあるのが残念ですけど。
匿名さん、こんばんは!
削除いやぁホント、アフターパーツの選択肢が少なくて大変ですよね。
ステムは、ダホンの中級モデル以上なら標準装備にすべきですよ。
>PAKE UKIAH RISER BAR
いいですねコレ!
実は私もライザーバーを前(斜め下)に倒して、
カフェレーサー風に使うことを考えたのですが、
ほとんどのハンドルバーでバックスイープが大きいんですよね。
前から見るとかなり「ハの字」になってしまいそうで断念しました。
その点、このPAKEのような形なら良さそうですね。
バーエンドが手前まで戻り過ぎず、ハの字状に下がり過ぎず、
なおかつアルミ製のものがあればいいんですけどね。
ニッチなアフターマーケットで稼いでいるLiteProあたりが出してくれませんかね。
というか、彼らやその同業者の売るハンドルポジションチェンジャーは、
なぜ突き出しが50mm止まりなんでしょうね。
70mmぐらいあれば様々な問題を回避できるのに。
>ニッチなアフターマーケットで稼いでいるLiteProあたりが出してくれませんかね。
削除ダホンユーザー共通の悩みとしてメーカーおよび販社さんは理解されてると思うんですけどね。待てど暮らせどそんないい話は浮かびあがって来ないようです。
でも実は「あの」NITTOさんはハンドルオーダー可能なんですよ。当然ある程度の数がなければそれなりの金額になっちゃうでしょうけど。
ここはひとつアキボウさんに頑張ってもらって理想のハンドルもしくはステムをプロデュースして欲しいものです。
もしくはぽんたさんが発起人(人柱?)となって署名を集めてみるとかw
この手のことは販社などはあまり乗り気ではないようですね。
削除ノーマルで乗ってもらいたいという気持ちが強いのか……。
ただアキボウの中でもTernはわりとカスタムの発信に積極的なので、
アキボウならTernチームに期待でしょうか。
>NITTOさんはハンドルオーダー可能
なるほど。一部のショップが別注モデルとして販売している、
日東の通常ラインナップにない日東製ハンドルやステムなども、
それに該当するのでしょうかね。
さすがに一人で大量発注してさばくのは厳しいですが(笑)
共同購入のような形ならいけるかもれませんね。