前回に引き続き、手組ホイールの準備です。今回はリアハブを用意します。お伝えしたとおり、ルート(2013)には126mm幅のリアハブが必要でした(現行モデルは130mm)。一方で今回の改造にあたっての希望は、8速以上のカセットスプロケットを使いたいというもの。
この2つの条件を同時に叶えるため、M10中空軸を使用する通常の130mm幅ハブを購入し、ルートに合うように手を加えてみようと思います。
購入したのはこちら。
Shimano Tiagra FH-4600です。実売2千円弱と安価ながら性能は十分。コストパフォーマンス抜群の一品です。ルートに使うならこれにしようと決めていました。このTiagraハブを分解して126mm幅に組み替えます。
リアハブの組み替え
ハブを組み替えるといっても、そうたいそうな話ではありません。ハブの左側にあるスペーサーを薄いものに入れ替えて、寸法を130mmから126mmに縮めるだけの作業です。件のスペーサーは画像矢印の部品。「左軸間座」という名前です。これを薄いものに交換します。
まずは左側のロックナットを緩めてハブ軸をバラします。
左側の部品をすべて取ったら、反対側からハブ軸を抜いてしまいます。左スペーサーを交換するだけなのに軸ごと抜き取るのは、右側のロックナットも移動させる必要があるからです。 (組み替え後の突き出し部分の長さを左右均等にするため)
オーバーロックナット寸法130mmの状態では、軸がロックナットから5.0mm~5.5mmほど突き出しています。縮める4mmぶんを左右で2mmずつ負担するとして、7.0mm~7.5mm程度の突出し量になるよう、右ロックナットの位置を調整します。結果、厳密に左右同じにならなくとも、だいたいでOKです。
右ロックナットをしっかり固定したら軸を戻します。外に出てきてしまっているベアリング球があったら、先に玉受けに戻しておきましょう。
今回はあらかじめベアリング球を取り出して作業をしました。ところがいざ戻そうと思ったらベアリング球の数が足りない! 手元を探しても見当たりません。もしやと思いハブを振ってみたら、カラカラと音が。ベアリング球がハブシェル内の窪みに入り込んでいました。
これがすごく厄介で、振ったぐらいではなかなか出てきません。グリスの粘着力のせいもありますが、内部がちょうど引っかかりやすい構造になっているようです。結局、ピックアップツール的なものを使ってなんとか取り出すことができました。みなさんもハブ整備の際にはお気を付けください。
あらためてベアリング球を玉受けに戻し、軸を挿し入れます。ベアリングにはちょっとだけデュラグリスを足しておきました。
代替スペーサーを用意する
さてここからです。FH-4600の左軸間座は厚さ5.5mm。これを厚さ1.5mm~2.0mm程度のものに交換すれば、左右のロックナット間がおよそ126mm幅になるという計算です。ちょっと悩むのは、その代替品に何を使うかということ。適当なハブ軸間座があればそれを使うのがいちばんですが、無い場合は、何か他のもので代用するしかありません。
- シマノスモールパーツから探す
「軸間座」「調整間座」「調整座金」などのワードでシマノスモールパーツ内を検索すると、様々なサイズのスペーサーがヒットします。これらの中から適度な厚みを持ったものを選んで購入します。その際には必ずリアハブ用(M10)を選択してください。価格は200円から300円程度のものが多いようです。あさひ等の自転車店が近くにあれば、店頭で注文して取寄せてもらうこともできます。
- 海外メーカーのハブ軸スペーサーを使う
Wheels Manufacturingという会社がアルミ製ハブ軸スペーサー(M10)を販売しています。日本国内では扱いがないようなので、海外から購入することになります。また英国eBay(ebay.co.uk)などでも、アルミ製ハブ軸スペーサーを買うことができます。これらも1個200円程度。国際送料がかかるのが難点でしょうか。
- ヤフオクで入手する
オークションを利用している人ならこれが簡単。スチール製ハブ軸間座(M10)を安価に入手できます。1個30円ほどなので価格的にはもっともお手軽です。今回はこの手持ちぶんを使います。
- 自作する
市販のスチールワッシャーを加工する方法もあります。M8座金の穴をM10に拡大するか、もしくはM10座金の外側を削ればOK。テーパーリーマーを使えば前者のほうが簡単かもしれません。YEAH号のハブ組み替えでは、この方法を使いました。アルミ板から切り出して作るのも良いかも。
手元にあるハブ軸スペーサーです。買ったものから、余りもの、自作もの(画像右端)までいろいろです。この中から今回は2.0mm厚のスペーサーを使用します。1.5mm厚と一緒に試したところ、2.0mm厚のほうがしっくりきたので。
さっそく取り替えます。ロックナットとの間にある薄い調整用座金は残すことにしました。
仮締めした状態です。見た目にも違和感なく収まったのではないでしょうか。この時点で左右ロックナット間の寸法は126mmと少し。問題なさそうです。
あとは玉当たりの調整をして完了です。左ロックナットを本締めした後の寸法を測ってみると――
幅126.2mmとなりました。実際にルートのリアエンドに取り付けて確認します。
ユル過ぎずキツ過ぎずピッタリでした。他にも何パターンかスペーサーの厚みを変えて試しましたが、125.5mm~127.0mm程度に収まっていれば大丈夫だと思います。125.5あたりを下回ると固定力が不安です。逆に127.0を超えるようだと取り付けが困難になってきます。(ルート2013の場合)
なおハブ軸はカットの必要はありませんでした。ルートのリアドロップアウトは9mmほどの厚みがあるため、130mmロード用の中空軸をそのまま使っても軸先が飛び出してしまうことはないようです。同様にクイックレバーの軸もカット不要。むしろ少し短いぐらいでした。
左軸間座を入れ替えてオーバーロックナット寸法を変えるやり方は、ホイール組みなどの際に良く使われる手法です。130mmのロードハブを135mm幅の自転車に使う場合や、Capreoハブを130mm幅に組み替えるといった事例が多いようです。ネット上に情報がたくさんあるので、それらも参考にしてみてください。
次回はリムの購入とスポークの編み方の決定、そしてスポーク長の計算と注文まで一気にやっちゃいます!
参考にさせていただき、無事DASHのホイールをRouteに移植できました! どうもありがとうございました。
返信削除moba zouさん、こんばんは!
削除お役に立てたようで何よりです!!