自転車いじりで一度はやってみたいことと言えば、やはりホイールの手組みじゃないでしょうか。でもこれ、なかなか取っつきにくい作業ですよね。どうやって組むの?という技術面での不案内もさることながら、専用の工具を買い揃える初期費用の高さを思うと、ちょっとなぁと躊躇してしまうところです。
もっとお手軽にホイールを組む方法はないものか。
そこで今回は、ルートのフレームを使って最小限の費用でホイールを組む方法を考えてみました。買う必要のある専用工具はニップル回しのみ! あとは手近にあるものを組み合わせて、振れ取りからセンター出しまで、全工程をDIYでやる方法を見つけてみようと思います!
振れ取り前の下準備
使用するハブ、リム、スポークなどを用意したら、まずは採用する編み方に従ってスポークを通し、ニップルからねじ山がひとつ見える程度まで組み上げます。ここまでの作業に振れ取り台は不要。ニップル回しひとつあれば出来ます。スポークにはまだ強いテンションはかかっておらず、ハブがふにゃふにゃと動くような状態です。編み方などの具体的な説明は省略します。その点については、どのみち私もよくわかっておりません。丁寧に解説しているサイトがたくさんありますので、ぜひそちらを参考にしてください。
本来ならここからホイールを振れ取り台にセットして、たてよこの振れを取り、センターゲージでセンターを確認し、それを繰り返しながら追い込んでいくという作業になりますが、今回はフレームを使って行います。
リアのよこ振れ確認用インジケーター
ホイールをフレームにセットする前に、まずは振れを見るためのインジケーターを取り付けます。よこ振れの確認用には、Vブレーキを利用するのがいちばん簡単。ブレーキシューを取り外したら、そこに長めのボルト(ねじ)、フランジナット、袋ナットなどを取り付けます。フランジナットは片側につき2個使って、ブレーキアームを内外から挟んでいます。
今回は手元にあった呼び径M4のものを使いましたが、取り付け可能であれば何でもOK。指で回して調整しやすい形状ならなお好都合です。
リアのたて振れ確認用インジケーター
たて振れ確認用の取り付け場所は、シートステーブリッジにある穴にしました。センタースタンド台座付近のダボ穴でも良いかも。
こちらも使う金具はなんでもOKです。新たにホームセンター等で買うのなら、可動範囲が広く取れて、大きすぎないものが向いています。
画像のような金具の組み合わせの場合、T字型のほうの穴が限られていたため、位置調整に制限が生じてしまいました。
リアのセンターを確認する方法
スポークをとりあえず編んだだけの状態では、ゆる過ぎて振れ取りに入ることができないので、まずはすべてのニップルを均等に少しずつ締めていきます。テンションがほんとんどかかっていない時点でも、ひとつのニップルを一気に回すようなことはせずに、ニップルひとつにつき1回転ずつ、リムを数周したほうが、良い結果になるような気がします。
スポークにある程度テンションを感じるようになったら、ホイールをリアエンドに取り付けます。その際、同時にセンター確認用の糸も張ってしまいます。
適当な長さの糸を用意して、シートチューブの手前でクロスするように回し、糸の両端をリアエンド内側とハブロックナットの間にはさみ込んで、ホイールごと固定します。
このとき、糸の出どころがなるべく左右同じになるようにしてください。また糸がクロスしている部分は、糸同士がほんの気持ちだけ触れている程度にします。
糸は建築用の水糸というものを使いましたが、これもなんでもOK。見づらくない程度に細いもので、ゴムのように伸びたりしなければ大丈夫です。
ここまできたらようやく振れ取りの開始です。ホイールを手で回してみると、うねうねとしているのがわかると思います。
振れ取りの具体的なやり方は、例によって他サイトの解説にお任せしますが、ルートのフレームを使ったこの方法でも、とくに違う部分はありません。
センターは糸とリム側面の間隔を見て判断します。
フロントの振れ確認用インジケーター
フロントの場合はリアよりずっと簡単です。ひっくり返した時点で、すでにフォークが振れ取り台のような形になっています。よこ振れ確認用はリア同様にVブレーキを利用。たて振れ用は、リアと同じ金具を使ってステアラーチューブ下の穴に取り付けます。
フロントはかなり作業性がよく、視認性も十分。やりやすいので、コツをつかむためにはフロントから先に手を付けるほうが良いかもしれません。
フロントのセンター出し
フロントがリアと違うのはセンターを確認する方法です。フロントホイールのセンター出しは、こちら↑のブログで紹介されているやり方を
参考にさせていただきました。
ハブのロックナット間のど真ん中にしるしを付け、リムの一点から反対側の一点に向かって糸を張ります。糸はリムサイドのそれぞれ反対面に当てます。張った糸がしるしの真上を通っていればセンターが出ていることになります。
糸はハブシェルにぎりぎりで触れないようにします。センター印は、スポークを編む前に付けておくほうが良いでしょう。この方法はリアのセンター確認にも使えます。
スポークのテンションについて
スポークの張り具合やバラつきを数値として知るには、専用のテンションメーターに頼るほかありません。しかしこれもけっこうなお値段。スポークを弾いた音からテンションを判断するというスマホ用の謎アプリなども存在しますが、実効性は不明です。
スポークテンションメーターに頼らずにどうにかするには、既製の20インチホイールのスポークをにぎにぎしてみて、その感触を憶えておくことぐらいでしょうか。同じ20インチでもスポーク径も編み方も様々なので、ほんの参考程度にしかなりませんが、それでも初めて組むときにまったく見当が付かないよりはマシなのではないかと思います。
まとめ
振れ取り台の基本的な機能というのは実に単純で、インジケーターをリムに近づけてホイールを回転させ、隙間の変化を見ることで振れている箇所を察知する、というだけのものです。その程度のことなら、自転車のフレームでも十分に代用可能です。ネジやら金具やらを用意するのも面倒だという場合には、もっと手軽に、上の画像のようなやり方でもできます。要するに、振れている箇所を特定し、振れ幅の増減を見ることができれば、なんでも良いのです。ホビーユースのホイールを組むのであれば、こんなやり方でも十分です。
もちろん、専用の工具を揃えることができるのなら、それにこしたことはありません。何百何千というホイールを組んでいるビルダーですら、勘や経験だけに頼らずいくつもの専門工具を使って作業しているわけで(精度に加えて生産性も重要だからでしょう)、素人がまともなホイールを組もうと思ったら、それこそ工具の力をフルに活用しなければおぼつきません。
ですが、まあいろいろと都合もありますよね。ためしにフレームを使ってホイールを組んでみて、出来に満足いかなければそれから振れ取り台を買っても、けっして遅くないんじゃないかと思います。
あるいは、振れ取り台の自作へと進むのもアリですね。自作振れ取り台でホイールを組んでいる人もたくさんいます。
あれこれ総合すると、フレームを使ったホイール組みもそう馬鹿にしたものでもないように感じます。
そもそも安価な自転車においては、フレームのセンター自体が正しくない場合があり、せっかくセンターゲージでホイールのセンターを出しても、取り付けてみたらズレている、ということも珍しくありません。
しかし、フレームを使って「現物合わせ」でホイールを組めば、そのような問題とも無縁です。既製の振れ取り台の多くで未対応の、オーバーロックナット寸法74mmに悩まされることもありません。
ニップル回しひとつあればできる作業です。ホイールを組んでみたいけど初期費用がなぁという方も、暇をみつけて挑戦してみてはいかがでしょうか。
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